暫く改装のため閉館していた『田中美術館』が今年の4月18日に『平櫛田中美術館』と名を改めてリニューアルオープンしました。
駐車場に着くと、早速リニューアルを知らせる看板が設置されているのを見つけました。
ちなみに、ここに掲載されている写真は田中さんの代表作『鏡獅子』で、完成品は東京にある国立劇場で見ることが出来るので、ここにはありません。が、試作で作られたものをいくつか見ることができます。完成品と同じ大きさのものもあって、ガラスを隔てることなく、私たち訪れた人達と同じ高さで展示されているので、その大きさや迫力を肌で感じることができます。(あ、触っちゃダメですよ!)
それに、サイズは小さいけれどもう完成で良いのでは!?と思うような作品や、肉体をきちんと捉えた裸像もあって、木で作られているのに、この身体があの服の下に隠されているのか、と思わせてくれるようなものもあって(衣装も木だから身体を作る必要はないはずなのに)、見ごたえがあるし、製作過程が見られてとても贅沢な空間です。
平櫛田中(ひらくし でんちゅう)さんを知らない方のために簡単に説明すると、
1872~1979(明治5~昭和54)と、100年以上生き、そのほとんどを製作に注いだ岡山県井原市生まれの彫刻家です。
一応、美術館のHPに書かれている説明を引用しておきます。
平櫛田中(1872~1979)は岡山県井原市に生まれた、近代日本を代表する彫刻家です。
本名を倬太郎(たくたろう)と言い、田中家から平櫛家に養子に入ったのち、田中(でんちゅう)と号しました。107歳でその生涯を閉じるまで、明治・大正・昭和の三代に渡って活躍しました。 岡倉天心と西山禾山に思想的な影響を受け、伝統的な木彫技術と西洋の彫塑を学んだ田中の作品は、観る者を引き込む緊張感と、人間味あふれる豊かな創造性を持っています。 なかでも井原地方の古い伝承に基づく《転生》(東京芸術大学大学美術館蔵)や、六代目尾上菊五郎をモデルに約20年の歳月をかけて完成した《鏡獅子》(東京国立近代美術館蔵、国立劇場展観)は、こんにち平櫛田中の代表作として知られています。
外観も綺麗になっていました。
建物変わったなぁ、というのは分かるのですが、前がどの位置にどんな感じで建っていたかが既に分からない・・・。
結構身近にあった建物も、なくなってしまうと何が建っていたかあっさり忘れてしまうタイプです。
過去に行った時のブログも一応載せてみましたが、建物が違うことは分かるけれど、全体像はよく分かりませんでした。
美術館の正面には田中さんが植えたという楠がありました。
ちなみにこの美術館、昭和44年に出来ているので、田中さんも開館の時には来られたみたいです。
入るとすぐに鏡獅子の大きなパネルがお出迎え。
ここでQRコードを使ってアプリを開くと、鏡獅子を360度鑑賞出来たり、詳しい説明が見られました。
館内も開放感ある素敵な空間に様変わりしていたし、展示室は、以前は照明が暗めで作品が所狭しと並べられている地方の歴史館的な雰囲気がありましたが、明るく一つ一つゆったりと展示されていて、落ち着いて見ることができるようになっていました。
一番上の階の展示室から見てまわるルートは以前と変わりませんでした。
前の雰囲気も好きでしたが、今回のリニューアルできちんと一つ一つの作品と向き合えるようになって、ゴールデンウィークということもあって人が多めでしたが、広々していたからゆっくり見ることができて、良いリニューアル!!
今回もリニューアルして比較的すぐに行きましたが、実はリニューアルのための閉館数日前にも行っているくらいかなり好きな美術館です。
展示室は撮影NGですが、田中さんのアトリエを再現したここのエリアは撮影OKでした。
こんな風に製作に取り組んでいたんだなぁ、と思わせてくれる展示があったり。
作品主に使用していた木の香を体験できる展示があったり。
こんな香に包まれながら製作活動に取り組んでいたんだなぁと想像が膨らみました。
アトリエを再現したエリアから出た場所から。
以前はこんな開放的な空間はなかった!!笑
美術館目の前の田中苑もここから見ることができました。
本当に、満喫しました。
田中さんの作品を見ていると元気が湧いてくるし、作品の説明を見ていると、80代、90代、そして100歳超えてからの作品も大量にあって、まだまだ自分はこれからだな、と思わせてくれます。
田中苑にある田中さん言葉。ご本人の文字です。
田中さんの名言は沢山ありますが、この言葉はいつも背中を押してくれる大好きな言葉です。この言葉が延々書かれたマスキングテープが売られていたので、自分用に買ってきました。笑
やる気が起きないとき、これを貼って自分に発破をかけようと思います。
田中苑にも鏡獅子。
本当に格好良い。
今はここから歩いてすぐ側にある、まほろば館でも田中さんの手紙を中心に展示コーナーが出来ているので、そちらも見に行くことをおすすめします。